二十四時間、矢の如し。

読売新聞に掲載されている多和田葉子さんの連載小説「研修生(プラクティカンティン)」を読んでいる。

本日掲載分の最後に記されていた、「一日目を終えてみると、二十四時間という時間が驚くほど長い。」という一文。

二十四時間を長く感じられるということは若さの特権に他ならないと改めて思う。

ジャネーの法則に逆らうことなく、今のわたしにとって二十四時間は驚くほど短い。

あっという間に朝が来て、あっという間に午前九時。

我が家は昼食が午後二時と遅いため、お昼の片付けが終わるともう日暮れを意識する。

日照時間が短い冬の間はなおの事。

変温動物さながら、寒くて体温が下がると頭の働きも動きも鈍くなるわたしは、夜は早く眠くなるし、朝は寝起きが悪い。

より一層、生きていると感じる時間が短くなる。

二十代の頃は、会社帰りに何本か映画のビデオをレンタルし、時には一睡もせずに夜通し見続けてしまうこともあった。

それでも疲労感を覚えたり、集中力が欠如したりということはなかった。

いまはダメ。

眠い。とにかくすぐに眠くなる。

お布団に入ってから本を読もう、動画を観ようなんて思っても、寝床に入ってから三十分も経たないうちに寝てしまう。

もしかしたら、若い頃に無茶をして、睡眠不足なんて日常茶飯事だったから、今になってまとめて寝たいと身体やお脳が要求しているのだろうか・・・なんて思ったり。

NHKのチコちゃんは、大人になると時が早く経つ理由を「トキメキがなくなったから」と答えたらしい。

うーむ。なるほどなぁ~。

たしかに子供の頃や若い頃は一日一日がトキメキの宝庫だったかもしれない。

わたしの場合、むしろ、トキメキを貪りにいって疲れ切ってしまったかも (;´∀`) 

 

冒頭で触れた多和田さんの小説は、始まったばかり。

本日まだ十一回目

主人公は大学を卒業したばかりと思しき二十代の若い女性。

1980年代のドイツを舞台に書籍取次会社で働くことになった主人公が人々と触れ合い、生きていく姿を描いている。

作者ご自身も大学卒業後、インドやイタリアを旅した後、ドイツで本の輸出の取次会社に研修社員として就職しているそうなので、ご自身の経験をなぞる作品になるのだろう。

六十代が書く二十代の感性は、活字でどのように表現されるのだろう。

それこそチャレンジなのだろうが、なかなか興味深い。