【映画】無料公開4作品 / ジョナサン、心霊ドクター、ギリシャに消えた嘘、大いなる遺産

母のお土産。

初夏の訪れを感じさせる笹の緑が目に眩しい。

葉を開くと、つるん、ぷりんとした柔らかなミルクグリーンの葛練り

弾力のあるもっちりとした食感。

抹茶の爽やかな風味が暑くなってきたいまの時期にぴったり。

和菓子、大好き。

 

さて、youtubeで無料公開中の映画をいくつか観たので備忘録。

ちなみに無料なので文句はいえないけれど、広告の量が半端ない。

これでもか、これでもかと広告が出てくる ( ̄▽ ̄)

 

以下、最近観た四作品。

「ジョナサン ふたつの顔の男」

「心霊ドクターと消された記憶」

ギリシャに消えた嘘」

「大いなる遺産」

 

【※以下、ネタバレにお気をつけください。】

 

「ジョナサン ふたつの顔の男」

2018年公開のアメリカ映画。

ひとつの身体に宿る二つの人格。

ひとりは午前7時~午後7時までを生きるジョナサン。

几帳面で内向的な性格、建設会社に勤務している。

もうひとりは午後7時~翌朝7時までを生きるジョン。

明るく社交的で、くだけた人柄という印象。法律事務所に勤務。

夜空の月のようなジョナサンが昼を生き、真昼の日差しのようなイメージのジョンが夜を生きる。

赤ん坊の頃、親に捨てられた「彼ら」。

親代わりのような女性医師が脳にタイマーを埋め込み、24時間をふたりで分け合い生きられるようにした。

それぞれ眠りにつく前にビデオをまわし、覚醒している間に起きた出来事を録画して共有する。

ふたりの間には、嘘をつかない、恋人を作らないといった幾つかのルールがある。

兄弟のように、いや、兄弟以上にお互いを想い、労わり合いながらうまく生きてきたふたりの間に変化が訪れる・・・。

 

一言でいえば、切ない。

思い出すと、いまだに胸の奥がきゅっと縮む。

 

物語は終始、ジョナサンの視点で描かれており、ジョンはビデオメッセージのなかに出てくるのみ。視聴者には彼のリアルに触れる機会はない。

にもかかわらず、判で押したような生活を送るジョナサンより、リアルが見えないジョンの方がなんとなく身近な存在に感じる。それはたぶん、彼がジョナサンに対して隠し事をしたからだと思う。

陰と陽のようなふたりがひとりの女性に出会う。

そして、ジョナサンの心にさざ波が立つ。

影法師は太陽がなければ生きられない。

切ないラスト。

 

「心霊ドクターと消された記憶」

2015年公開、豪映画。

事故で娘を亡くした悲しみから立ち直れずにいる精神分析医の男性。

ある日、彼の前に現れた一人の少女が残したメモから、彼のもとに通う患者達がすでに他界した人々であることを知る。なぜ彼らはやってくるのか、、、その秘密を探り、辿り着いた事実、忘却の彼方にあった記憶が見せたものとは・・・(怖

タイトルをみてB級ホラー映画なのかと思ったが、主演が「戦場のピアニスト」という作品でアカデミー賞主演男優賞を受賞した俳優さんだったので興味をそそられた。

内容は、当初、結局ホラーなの?と思われたが、徐々にその背景にある事実が明らかになり、じつはミステリーだったという感じ。

とはいえ、ホラー的なシーンも多いので、それが苦手な人にはちょっとアレかもしれない。

うぎゃー!なホラーシーンを耐え忍んだ先にミステリーが待っているので。

原題は、“来た道を引き返す”という意味合いを持つ「Backtrack」。

内容を的確に表現したタイトルだと思うので、このままカタカナでバックトラックにしても良かったような気がしないでもない。

「心霊ドクター」という文言にB級臭が漂っているように思うのだけれど、かといって内容はA級とはいえないし、ホラーが苦手な人は敬遠しそうなので、まあそれなりに的を射たネーミングなのかな。

 

 

ギリシャに消えた嘘」

2014年公開、米、英、仏の合作映画。

キルスティン・ダンストが出ていたので観た。

相変わらず、凄い美人ってわけではないのにとっても魅力的なキルスティン・ダンストが良い。

ギリシャでツアーガイドをするアメリカ人青年が、旅行者であるアメリカ人夫婦に関わったことで事件に巻き込まれていくサスペンス。

キルスティンはアメリカ人夫妻の妻役。

三人寄っても文殊の知恵は出てこない。出てきたのは疑心や嫉妬、そして悲劇。

登場人物は少なく、派手な演出もないが、その分、役者の表情や台詞回し、間合い等、技量が問われる作品だったように思う。ストーリーはテンポよく、ハラハラさせる展開で飽きさせない。

ツアーガイドの青年ライダルを演じたオスカー・アイザックも、夫婦の夫チェスター役のヴィゴ・モーテンセンも良かった。

でもちょっと寂しくなる。

結局、人間って関われば関わるほど情が湧くというか、、、

「情」ってどこから湧いてくるの?手に負えないと感じるときもある。

振り回されてうんざりしているのに、ぐちゃぐちゃに踏み荒らされた心が均されてしまう。

困ったもんだ。

 

 

「大いなる遺産」

2012年公開のイギリス映画。

主演は知らない俳優だったが、ヘレナ・ボナム・カーターレイフ・ファインズの名前につられて視聴。

原作は英の文豪ディケンズの同名小説。

舞台は19世紀イギリスの田舎町。

主人公は、両親を亡くし、恐ろしくヒステリックな姉と、その旦那で心優しき鍛冶屋のジョーと一緒に暮らす少年ピップ。

ある日、両親が眠る墓地で脱獄犯に出くわしたピップ。半ば脅されるかたちで食料とやすりを渡してしまう。その後、脱獄犯は追手の警察に捕らえられ、連行される。

別の日、近所の豪邸で暮らすミス・ハヴィシャムに招かれ、彼女の養女であるエステラという少女に出会う。レディとして育てられ、お高くとまるエステラだが、ピップは彼女に惹かれ、恋心を抱くようになる。

月日が流れ、青年になったピップはジョーの鍛冶屋を手伝っている。

ある日、彼のもとに弁護士が現れ、ピップが匿名の人物から莫大な遺産の相続人に指定されたと聞かされる。風変わりな条件に従い、「紳士」になるためにロンドンに旅立つピップ。

期待と夢に胸を膨らませて訪れたロンドンで待ち受けていたのは、良いことばかりではなかった。

人生の荒波に揉まれ、揺れる感情を持て余しながらも着実に歩みを進めるピップ。

 

・・・これは、いわゆる一人の少年の成長物語といえるのかな。

とはいえ、ヘレナ・ボナム・カーターの期待通りの怪演や、その他のユニークな登場人物達、演出の妙味で単なる成長物語の枠を超え、ファンタジーやミステリーテイストも加味された重層的な作品に仕上がっていると思う。

成長したエステラが綺麗だったな~。

演じていたのはホリデイ・グレインジャーという女優さん。

赤毛の映える陶器のような白い肌、丸みを帯びた顔が実に愛くるしかった。

過去にテレビドラマでボルジア家の長女ルクレツィア・ボルジアを演じて注目されたとか。

ルクレツィア・ボルジアといえば、塩野七生さんのデビュー作「ルネサンスの女たち」に出てくる登場人物の一人。

大学生の時分、ツアー旅行でイタリアに行ってかぶれたわたしは、一時期、塩野さんの小説を何冊か立て続けに読んだ。面白かったな。

余談だけれど。