「どうしてそんなに綺麗なのに俯くの?」
母が育てたクリスマスローズにかけた言葉。
少々ズボラなところのある母が育てたクリスマスローズは、なぜかシキミと同じ鉢、ならぬ「樽」に植えられている。
昨日、ふと樽のなかに目を向けると、年がら年中いきいきと茂るシキミの下に埋もれてしまったクリスマスローズの花を見つけたので、思い切ってその一輪を切り取り、緑色のちいさな花瓶に挿した。
クリスマスローズって不思議な花。
この画像に写るそれは、二輪のように見えて、実は一輪。
一本の茎から、種類の異なる花が咲いているように見える。
そして、樽に咲く花も含め、揃いも揃って下を向いている。
なんとなくこう、、目立たないように生きている感じ。
初めて目にしたときは発育不良だろうかと思ったが、どうやらそうではなく、大事な花を雨や雪から守り、受粉を助けるミツバチなどが下向きに咲く花を好むことから、効率よく受粉してもらうためにこのように進化してきたらしい。
こんなに綺麗なのだから、もっと自信を持って顔をあげてはどうか、なんて言葉は大きなお世話なのだ。
思慮深いね ...
もったいないなんて思ったのは、軽率だった。
埋もれたクリスマスローズをダイニングテーブルに飾ったら、母が感嘆の声をあげて喜び、友人たちに画像を送っていた。
仕事で多忙な姉に「和み」というメッセージを添えてLINEすると、多少は疲れた心をほぐす材料になったみたい。よかった。
(※画像のクリスマスローズは、綺麗な顔を愛でられるよう、(進化に反して)添え木をしています。)