【映画】amazon プライムビデオで観た七つの映画。
手続きした覚えもないのにamazonのプライム会員になっていた ( ̄▽ ̄)
心当たりといえば、一旦カートに入れた商品の購入を見送り、カート内の商品を削除したことぐらい。
ググってみると、同様に無自覚なまま会員登録されていたと訴える人たちがちらほらいた。
一連の流れのどの辺りで登録がなされるのかについては不明なままだが、お試し期間中のため、まだ課金はされていない。
せっかくの俄かプライムライフなので、プライムビデオを見ることにした。
※以下、ネタバレにご注意ください。
手始めに、、トップページに出ていた「BLUE GIANT」というアニメ映画を視聴。
「坂道のアポロン」というアニメが好きだったので、ジャズをモチーフにした本作に関心を持った。
JAZZに魅了され、テナーサックスを吹くようになった片田舎の高校生のサクセスストーリー、、までいかない、その最初の成功体験を描いている。
ストーリーはありきたりだけれど、ジャズピアニストの上原ひろみさんが音楽を手掛けただけあって、演奏シーンに対する強いこだわりは感じる。ディズニーの「ファンタジア」をちょっぴり思い出した。
演奏時の人物の動きもCGを使っているのか、非常に滑らかで、演奏時以外のシーンとはまるで異なる。
しかし、演奏シーンへのこだわりが強すぎたせいなのか、全体通してストーリーの陳腐さが際立った。
ドキュメンタリー調のシーンと演奏シーンに比重を置いた方がすっきりしたのでは。
もしくは人物の焦点はサックスとピアノに絞るとか。
ちょっと盛り込みすぎな点が裏目に出てしまったような印象。
「セッション」
2014年のアメリカ映画。
アカデミー賞5部門にノミネートされ、助演男優賞など3部門でオスカーを受賞しているらしい。
これもジャズ。ストーリーも非常にシンプル。
でも、焦点の当てどころを変えるだけで受ける印象がガラリと変わる。
完璧に対する恐ろしいほどの欲求、渇望。対象が目に見えないだけに、別の意味で戦慄が走る、ホラー。
世界的なジャズドラマーを目指してアメリカ最高峰の音楽学院に通う、ちょっぴり内向的でウブな雰囲気の主人公と鬼のような指導者。
ほとんどの人が到達できない高みを目指す彼らが天使と悪魔のように見えたり、悪魔と悪魔のようだったり、その実、天使と天使なのかもしれないと思ったり・・・。
狂気に触れて狂気が目覚め、強烈な個性がぶつかり合って、剥き出しの魂から血しぶきがあがるようだった。
やがてじわじわと指導者に浸食されていく主人公・・・。
しかし天才は異なる次元で生きている。
感情と理性に折り合いをつけようとする意思は吹き飛ばされ、平静を突き破って間欠泉のように噴き上げてくるものはなんだろう。熱情?怒りとか悲しさとか憎しみとか後悔とか蔑みとか、、渇望が大口を開けて、すべてを飲み込んでしまう。
傍観者はただただ心を鷲掴みにされるだけ。
彼らが目指すものは同じ。
胸が空くラスト。
とても面白かった。
「Summer of 85」
2020年、フランス・ベルギー合作の青春映画。
1985年の夏に出会った16歳の男の子と18歳の男の子。
彼らの甘く切ない6週間の恋物語。
10代特有の危うさや儚さ、繊細さ、そして未熟ゆえに薄情で、雑で、拙い、、、そういうところがうまく描かれていたように思う。
本作の監督であるフランソワ・オゾン氏の「彼は秘密の女ともだち」という作品が大好きなので、本作にも興味を持った。
「彼は秘密の、、」に比べるとこちらはかなりライトテイストで、前者が長編小説なら、これは薄い単行本に収められた良質な短編小説という感じ。
二度と得られぬ一瞬の煌めきのようなものが、胸の奥にノスタルジックなつむじ風を起こすかもしれない。
劇中流れてくるロッド・スチュワートの「Sailing」という曲が秀逸で、本作を観終えた後も繰り返し聴いている。
「パリに見出されたピアニスト」
2018年フランス・ベルギー合作映画。
パリの郊外で貧しい母子家庭に育ったマチューは、幼い頃、同じ団地に住む高齢の男性の手ほどきを受け、ピアノを習得した。青年になっても貧困から抜け出せない彼が、パリの駅に置かれたピアノを弾いたとき、新たな扉が開かれる。
エンディングも察しがつくという、なんのひねりもない分かりやすいストーリーだが、ポジティブな終わりが約束された、力の要らない作品を好む人にはおすすめ。
なお、主人公の才能を見出す音楽ディレクター役のランベール・ウィルソン氏が猛烈に格好良い。
一部のハリウッド俳優みたいなむさくるしさというか暑苦しさみたいなものがなくて、品のあるノーブルハンサムがお好きな方にはホント眼福だと思う。
「赤と白とロイヤルブルー」
2023年、アマゾン制作のロマンティック・コメディ。
アメリカ大統領の息子と英国ロイヤルファミリーの次男坊の恋愛を描いている。
いわゆる普通の恋愛映画。ふたりを待ち受ける難題もお察しの通り。
と、厚みのあるストーリーではないけれど、さらりと明るいハピエンドラマ。
主人公の二人が美しい。もちろん絶対条件として不細工がやったらダメなやつだけれど。
わたしが注目したのは、アメリカ大統領(つまり主人公の母親)を演じていたユマ・サーマン。
いやー、時の流れは容赦ないなあ、という感じ。
でも、まだ(っていうのもあれだけれど)、ま・だ、54歳とは・・・
50代ってやっぱりこれかあー(チーン)、なんて思いながら眺めていたわたし。
どんなに綺麗な花瓶に飾っても、萎れた花が萎れている事実は変わらない。
外見より中身というけれど、老いっていうのはまた別次元の話だと思う。
まあそれはさておき、本作はヒット作らしく続編の制作が決定しているとか。
みんなBL好きだなあ~(笑)わたしも好きだけれど。
キャスティングは、かなりグッドでした。
「シャイン(Shine)」
1996年のオーストラリア映画。
オーストラリアの実在のピアニスト、デイヴィッド・ヘルフゴッドの半生を描いている。
アカデミー賞主演男優賞を始め、多くの映画賞を受賞した本作。昔、CMで予告編を観た気がする。
いかにも賞を取りそうな感じの内容で、とても面白かった。
作中の演奏はヘルフゴッド氏自身が行っているらしい。
父親が絶対的支配権をもつ家父長制家族の中で、父の強迫症的な愛情に縛られ続けるデイヴィッド。
むかし、どこかのドキュメンタリー番組に出ていた、大家族で飲食店を営む一家を思い起こさせた。
愛の定義はさまざま。傍観者は、ただ時折、当事者が感じられない愛を見たりする。
ピアノで精神まで病み、不遇な時代を過ごしたデイヴィッド。
しかし、彼の才能が放っておかれることはない。蓋をされても囲われても漏れ出す輝き。それは周囲の人を惹きつけ、幾つもの巡り合わせがその才能を浮上させる。
表現の仕方はそれぞれだけれど、いつも彼を愛する人がいる。
星を読む人、占星術師の奥さんとの出会いがいちばんロマンチックだろうか。
ふたたびステージに立って輝く彼の涙にもらい泣きをした。
「彼の見つめる先に」
2014年ブラジル映画。
主人公は全盲の高校生レオナルド。
彼を愛してやまない両親と陽気で優しい祖母、そして幼馴染の女の子ジョヴァンナがいつもそばにいて支えてくれる。
思春期を迎えたレオの心は大人の階段を上り始める。
自立心が芽生え、恋も意識し始める。
そのようなときにやってきたのが転校生の男の子、ガブリエル。
甘酸っぱい、みずみずしい青い春の始まりである。
レオナルド役の俳優の演技がとても良かった。
言葉を飲み込んだあとの表情とか、、あー、なんかわかるなぁと、彼の心の動きに懐かしさを覚えつつ、同時に胸の奥が少し痛むのは、喪失感のせいだろうか。
両親やおばあちゃんとの掛け合いも良い。
お母さんにとってレオはいつまでたっても幼い男の子のまま。とにかく目の届くところにいてほしい。一方、お父さんは彼の自立心が育っていく様子を微笑ましく感じていて、彼の夢を叶えてやりたいと思い始める。
おばあちゃんは、中立、かな。レオが質問をするたびに、いつも優しく楽しそうに答えてくれる。
きっと彼は幼いころから沢山の質問をしてきたに違いない。
おばあちゃんからみて、それらの問いの質量はどう変化してきたのだろう。
すっかり年をとったわたしからみて、レオナルド達の「今」は、柔軟な青春の一ページにすぎないのだけれど、確かにわたしにも、とても深刻な十代の日々があったことを思い出す。
今なら笑ってしまうようなことも、今日を乗り越えられるかどうかという高い壁だった。
レオやガブリエルだけではなく、ジョヴァンナや悪たれ同級生たち皆、彼らに幸あれ!と拍手を送りたくなるようなラストシーンが素敵。